絹糸の撚糸のお話
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糸の撚り、使いには様々な方法がありますが、
ここでは基本を説明していきます。
下記の撚り数は着尺で使用される太さを基準としてお話ししております。
それより太い絹糸の場合は全く変わってしまいます事をご了解くださいませ。
(同じ風合いの絹糸を作成する場合、太い絹糸ほど少ない撚り数になります)
●引き揃え(@ひきそろえ)
撚りと言うよりも、何本か引き揃えただけの状態を「無撚り(むより・むねん)」と言います。
無撚りというものの撚糸屋さんで特殊な技術によって合わせつくられます。
テンションが少しでも違うと途中から糸の状態がおかしくなり使い物にならないのです。
絹糸の中でも取り扱いが特に難しく、扱える染め職人さんも極僅か。
その後の作業も難しく糸繰りなども嫌がられます、、、汗
当店で扱っている日本刺繍糸がこちらの撚りになります。釜糸、極天すべて同じ絹糸です。
良く織屋さんでは繊度を合わすために色糸を数本合わせて引き揃えて太さを調節されています。
(本当にこれは撚りではありませんねっ! 参考まで、、、)
●片撚り(@かたより)
何本かの糸を引き揃えて片側に撚りを掛ける事を「片撚り」と言います。
特徴としては、とにかく光沢があり綺麗。特に細い絹糸は綺麗に見えます。
逆に指のささくれなど
に引っかかりやすく、毛羽立ちやすいです。
結果、製作途中も製作後の生地になっても毛羽立ちやすく使いにくいです。慣れですけど、、、
例・21中8本片と言う糸は、
21中の生糸を8本引き揃えて一方向に撚りをかける撚りです。(必然的に若干撚りは戻ろうとします)
通常、織物用は右撚りで、1m間に150~350回入れます。 (180~200回が一般的)
それ以上強いと撚りが戻ろうとしてかなり扱いにくくなります。
表記は、右撚りで1m間に180回と言う場合は「S180t/m」と書きます。(左はZ)
特に昔は経糸には筬でこすれたりもしますので撚りの強い絹糸(300t/mぐらい)を使用していました。
しかし現在では光沢のある180~200回ぐらいの絹糸が人気があります。
●双撚り・諸撚り(@もろより)
どちらも同じ意味で読みで同じ意味で使われています。
ミシン糸など糸の撚り目(縄の目のような物)がはっきり見える撚り方。
撚り目で光沢は少し落ちますが、経糸にも緯糸にも使える万能糸です。
(糸の原料は同じなのですが撚りの目が影になり光沢が少し落ちます)
撚糸を2工程にかける(2回目の撚りを逆方向にかける)事により、糸の戻ろうとする力を抑える事ができ取り扱い易い糸になります。1回目の撚糸を下撚り、2回目の撚りを上撚りと言う。
例・21中8本双と言う糸は、
まず4本の生糸を一方向に撚りをかけ「21中4本片」を作り(通常は600~700t/m程度)、その糸を2本引き揃えて(二子の場合)反対方向に撚りをかけます。(通常500~600t/m程度)
反対の方向に撚りを戻す事により撚りが安定します。
8本双の場合は半分の4本、10本の場合も半分の5本(割り切れる場合は通常半分)、9本の場合は3本を3本合わし21中9本双になります。
通常、織物では二子を使用します。
特徴は何と言っても使い易さ。いつも片撚りを使われている方は、一度使
って見て下さい。
●駒撚り
製造方法は双撚りと全く同じですが、下撚り・上撚りどちらもに1000回以上入った撚糸です。
通常、西陣・丹後(縮緬)では着尺の経糸に利用されています。
織物に堅さ&シャリ感を出すのが特徴で、汗をかいた際のべたつきなどが少なくなります。
また摩擦などの耐久性にも非常に優れていますが、光沢は双撚りよりも落ちます。
撚りが強いので糸繰りは難しいです。染色で糸を乱すととさらに繰りにくくなります。汗
●特駒撚り
上記の駒撚りよりもさらに撚りが強く、ここまでくると、糸自体に縮もうとする力があります。
織りあがった生地を少し縮める事ができます。(縮めるにはある程度の隙間も必要になります)
染色時は水の重さがありますが脱水後、竿に干す際は重りをつけて糸を伸ばす必要があります。
取り扱いが難しいので初心者は手を出さないで下さい。汗
※これらは2000年7月22日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
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最終更新日2012年2月
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