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絹糸は西陣の糸屋
 
西陣の糸屋 情報資料館
 
絹糸は西陣の糸屋
 
目次
絹糸の解説 ◆生糸の呼び方と構造
◆機械製糸と座繰り
◆生糸 ・絹糸の節
◆良い糸 ・悪い糸
◆玉糸のお話
◆手引き真綿糸
◆専門用語の意味と呼び方
◆キビソ糸 ・ビス糸
◆絹糸の撚糸
◆真綿糸などに使う撚糸

◆生糸の保管状況と品質
◆経糸 ・緯糸の違い
◆経糸の糊付け
◆枇杷染めのお話し
◆撚度の差による染色の違い
◆英式綿番手と仏式綿番手
◆幻の糸 網糸
◆長繊維と短繊維
◆ちょっとしたお得な情報
◆21中8本片が出来るまで

◆21中8本双が出来るまで
◆柞蚕糸のお話し
◆八墓村のたたり
◆糸の撚り回数の違い
◆しのぶもぢずり
◆長さの単位
◆猿でも解る?簡単な撚糸
◆御召しと縮緬のお話
◆御召しと縮緬のお話2
◆絹糸の驚くべき強度

◆絹糸の精練と絹鳴り
◆これって同じ糸?違う糸?
◆カセ状の糸の名称 ・扱い方
◆筬の密度と経糸の必要量
◆杢糸って知ってる?
◆西陣織業界の職種
◆絹糸の判別方法
◆強撚糸
◆壷糊と一本糊
◆経糸密度と繊度の関係

◆本金糸と金糸と銀糸
◆糸の喧嘩(太さ調べ)
◆先染め織物と後染め織物
◆絹糸のロット違い
◆絹糸を分析する
◆二子(ふたこ)と三子(みこ)
◆太い絹糸と細い絹糸の価格
◆絹って?シルクって?何?
◆イタリー式撚糸工場
◆リング式撚糸工場

◆未精練での染色(生染め)
◆戦後の歴史と繁栄 製糸商標



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 21中8本双の出来るまで

今回は、通常の撚糸の製造行程の2回目で~す。
本気で手織りをされる方などははっきり理解して下さいね!

糸屋によっては21中8本諸とも呼ばれます。読み方も意味も全く同じです。


ちなみに、片撚りの作り方は読まれましたか?
(21中8本片解説と違うところは③~⑥の部分だけです)


今回の場合、使用する原料は生糸21中の原糸(単糸)のみです。


●生糸21中の説明
製糸工場から私たち糸屋が買う糸、「21中生糸」は1綛でなん と約200g!
これまでのメールマガジンを理解して頂けた方は簡単に解ると思いますが、9000mで21gと言うことは、1綛が200gと言う事は、、、約85714mもあるのです。
髪の毛よりも数倍細い生糸が1綛で85714mも、、。ぎょえ~!


さ~先を急ぎます。笑


①まずは「漬け込み」(まだまだ糸繰りの準備段階)
製糸工場から送られてきた生糸単糸は、枠の角がセリシンで固着しております。
これはばらばらになって綾が乱れないようにしてるので必要なのですが、固い状態だと糸繰りがしにくかったり、糸がさけたりします。 だからその堅い部分をほぐす&撚糸工程時に撚りが均一に入るよう糸を柔らかくする為、撚糸油を溶かしたお湯の中に入れるんです。これを専門用語で漬け込みと言います。 当社の北陸工場ではお風呂の浴槽にお湯を入れそこに「どぼっ」と浸けています。
(撚糸屋さんは別の場所にちゃんとしたお風呂があるのでご心配なく!誰もそんな事心配してへんかっ。) その後自然乾燥をするため竿に干し工場内で約3日乾かします。


②いよいよ「糸繰り」の始まり。
ここからはみなさんもされている糸繰りです。と言っても撚糸工場で行っている糸繰りはみなさまの数倍のスピード、通常一度繰り出した糸は一度も切れずに最高の速度で巻き上げると約8時間。
21中(21デニール)の生糸が時速11km程の速度で巻き取られていくんです。汗
ちなみに巻き取りは撚糸専用のボビンに巻き取られます。


③続きまして「下合糸」(したごうし)(まだまだ撚糸の準備)
「双糸(双撚り)」の場合は、2回の撚糸行程を必要とします。
そして1回目の撚糸準備行程を「下合糸」(したごうし)と言います。
今回の場合「下合糸」で21中の生糸を巻いたボビンを4本立て、引き揃えながら撚糸機に使用する別のボビンに巻いていきます。


④「下撚り」(したより)
下合糸したボビンを撚糸機にかけ、左方向に1mあたり700回の撚りを入れます。
この1回目の撚糸を「下撚り」(したより) と言います。
ちなみにこの時点で撚り上がった糸は、また別のボビンに巻き取られています。
今回の場合、現時点で出来上がった生糸撚糸は21中4本片(左撚り)ですね!


⑤「上合糸」(うわごうし)
2回目の撚糸行程「上撚り」の準備を「上合糸」(うわごうし)と言います。
上記のように出来上がった糸(21中4本片)を2本、もう一度「合糸」(引き揃え)をしてまた撚糸用のボビンに巻いていきます。
今回の場合、21中4本×2本と表現します。合計8本の生糸が合わさりました。



⑥「上撚り」(うわより)
「下撚り」と同じ撚糸機で右方向(下撚りと反対方向)に1mあたり600回撚りをかけまた別のボビンに巻かれて行きます。これで撚糸工程は終了です。
ちなみ上撚りの方が下撚りよりも少ないのは糸の安定が良いからです。
今回の場合、S600/700とも表記します。


⑤まだあるの?「セット」(通称「蒸し」と呼ばれる工程)
前回の「撚糸」工程で一応「21中8本双」と言う糸が出来ましたが、これで終わりではないんです。
撚りの安定度高める為(せっかくかけた撚りが戻りにくなるようにする)、ボビンのまま蒸気によって少し熱を加え蒸されるのです。(この工程で使うボビンはち ゃんとたくさんの穴があいていて蒸気が内側からも入るようになっ ているのです。さすがっ!)
この工程は横浜の中華街のシュウマイを思い出して下さい。 ※絶対によだれを垂らさないで下さい。

⑥またまた乾燥待ち(凄い時間がかかるものでしょ!)
蒸気蒸しにされた糸は約1日間自然乾燥させます。
これでやっと生糸撚糸「21中8本双」の完成です。ふ~。



⑦いよいよ大詰め!
最後に1.27mの枠に繰られ糸口をとります。
(「巻き初めの糸」と「巻き終わりの糸」を別の糸と結び解るようにする)
その他にも2~3箇所「ひびろ」(綛の綾が乱れないように交差するように入れる別の糸)を入れます。この糸がなかったら 染めたりした後、繰れない糸になりますから最後の大切な工程です。 糸繰り時にこの糸を外すのが面倒くさいと思った事のある方!大切なんです。面倒くさがらないでね。
撚糸やさんの愛情のこもった糸なんです。

⑧いよいよ「糸屋さんに出荷っ!」
出来上がった糸を600綛(糸の種類によって綛数は違います)合わせてひもで括り紙に包まれます。
この状態を「括(かつ)」と言い、 「1括」が通常機屋さんと取り引きする最低の数量となります。
撚糸って単に糸撚り合わせるだけでも、びっくりするぐらい時間が かかるものでしょ!
(これでも片撚りは一番作業工程が少ない撚糸なんです。)


⑨出発進行!
運送会社さんに、、、 (誰か止めて~!こんな事は書く必要がないですね。)
以上、今回は「21中8本片の出来るまで」をご説明しました。



今回の糸(21中8本双)の場合、 正確に言うと「21中4×2双」と言うことになります。
前半の21中4×2が糸の太さを表す意味(通常は21中8本と表示)で、後半に付けられてい「双」は撚りの程度を表す記号になります。

例えば 「21中6本双」は「21中3×2」「21中2×3」どちらかです。
(特別な表示のない生糸の場合、後の数字が2が普通です。 前者参考)

また「双」(会社によって「諸」とも言います)ですが、、、
通常「下撚り」が1m間に600~900回・「上撚り」が500~700回ぐらいで、会社によって差があります。

前回に説明した片撚りよりも私のような手のかさかさな者には使い易いです。
某有名手織り学校でも一番初めは双糸を使用されております。
だまされたと思って一度使ってみてください。




※これらは2001年4月16日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
ページ内の文章・写真・画像の一切の転載を禁止します。著作権は有限会社吉川商事にあります。
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最終更新日2012年2月



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