手引き真綿糸などに使う撚糸のお話
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手引き真綿糸などに使う撚糸についてお話したいと思います。
前のページで生糸の撚りを中心に説明しましたが、今回は真綿糸な
どに使われる、撚糸についてお話しします。
まずは
●片撚り(@かたより)
前回お話しした片撚りと同じで、手引き真綿1本に生糸を引き揃えて一方向に撚りを掛けるだけ。
手引き真綿に引き揃える生糸を付け糸(つけいと)と言い、通常は生糸単糸を使用します。
また、付け糸を2本にしたり、手引き真綿を2本にしたり色々な事が出来ます。
撚りが掛かる分、手引き真綿糸は細く見えます。(もちろん糸の量は同じです)
特徴は付け糸によって手引き真綿糸が切れにくくなり、糸がまとまり使いやすいくなる。
通常は200回ぐらい入れる事が多いです。
結城の手紡ぎ糸の多くも現在は中国製になりましたが、現在はこのような撚糸をされています。
●タスキ撚り
この撚りは手引き真綿糸など特に扱いにくい糸を使用する際に使用する撚りです。
撚り方はまず手引き真綿糸と生糸(付け糸)とを引き揃えて片撚りを入れます。ここまでは上の片撚りと全く同じです。
それからその糸にもう一度付け糸を付けて今度は反対向きに撚りを少し入れます。
二度の撚糸をする事によって手引き真綿糸の撚りを戻して糸の安定感を増やすだけでなく、手引き真綿自体の撚りを少なくしてふわっと柔らかい手引き真綿糸に近づけます。
(撚糸加工をしない手引き真綿原糸の方がもちろんふっくらと柔らかい風合いです)
当方でも、もともとは手引き真綿糸を経て糸に使えるように織屋さんからご注文を受けたのが始まりで、現在も定番商品として製造しております。
特徴は、糸のさばきがかなり良くなり、取り扱い易さがかなり良くなるんです。
簡単な工夫ですがこれだけでかなりふわっとします。
また糊を付ける事によってさらに使いやすくなります。
●袋つむ撚り
この撚りは、原糸(手引き真綿)に撚りを一切掛けずに生糸を巻き付けていく撚りです。
回転する中空のスピンドル(パイプのような物)の中に原糸(手引き真綿)を通し、スピンドルのの出口付近で糸を巻きつけていく撚り方です。
この設備を持った撚糸機械はあまり国内に無いので特殊な撚りとなります。
チャーシューを作る際、豚肉にひも
を巻いて縛る(名前は解らないがあれみたいな物)のと同じです。
ホームページ掲載の引出真綿生糸巻き、平巻き糸はこの撚りです。
※これらは2000年8月6日に西陣の糸屋が発行したメールマガジンを変更した内容です。
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最終更新日2012年2月
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